障害年金の初診日がわからない・証明できないときの調べ方 — カルテ破棄でも諦める前にやる5つのこと

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すべては「最初の一日」から逆算される

障害年金の手続きは、どこを切っても「初診日」に行き当たる。

つまり初診日を確認できないと、年金の種類や納付要件などの審査を進めにくい。そして精神疾患は、この初診日が特に曖昧になりやすい。最初の受診が10年前、最初は内科だった、転院を繰り返した——。

この記事では、X上で障害年金の発信を続ける当事者・実務者のポストの分析をもとに、初診日がわからない・証明できないときに実際にやるべきことを、順番に解説する。

当事者が「闇」と呼ぶ、初診日の残酷な仕組み

まず、なぜ初診日がそこまで重いのかを、当事者の言葉から見てほしい。精神障害2級の当事者としてXで発信を続ける人物のポストで、9,000回近く表示され数百のリアクションを集めたものがある。趣旨はこうだ。

社会保険料を長年納めてきた会社員が、障害が原因で退職し、退職後に初めて心療内科を受診した。するとその時点では国民年金なので、障害基礎年金しか受給資格がない——「流石に救われてほしい」

このポストに多くの当事者が反応したのは、初診日の判定が「実態」ではなく「記録上の一日」で機械的に決まるからだ。在職中から不調はあった。でも我慢して、辞めてから病院に行った。その我慢が、厚生年金(2級なら基礎+厚生の二階建て、3級や障害手当金もある)への道を閉ざす。

だが、この話には裏面がある。「最初の受診」は精神科である必要がない。 在職中に不眠や食欲不振、動悸で内科にかかっていれば、そこが初診日と認められる可能性がある。つまり「初診日がわからない」を放置せず掘り起こすことは、単に書類を揃える作業ではなく、対象となる年金の種類を左右し得る作業なのだ。

なぜわからなくなるのか — 5年の壁

初診日は自己申告では認められず、原則として初診の医療機関が書く「受診状況等証明書」で証明する。ここに立ちはだかるのがカルテの法定保存期間5年だ。5年を過ぎたカルテは破棄されていることがあり、病院自体が閉院しているケースもある。

実務者の発信でも、統合失調症を例に「初診日が古くて、特定が困難となるケースが見受けられる」と指摘されている。発病から受診まで時間がかかりやすく、受診開始から請求まで年単位の時間が経ちやすい精神疾患は、構造的に5年の壁に当たりやすい。

諦める前にやる5つのこと

① 記憶の外部にある手がかりを洗い出す 自分の記憶ではなく、モノを探す。お薬手帳、診察券、領収書・医療費控除の記録、家計簿やカードの明細、健康診断の結果(不調の記載)、会社の休職記録、手帳やLINEの過去ログ。「この年の冬に最初に行った」まで絞れれば、次の手が打てる。

② 初診の病院に「受診状況等証明書」を依頼する カルテが残っていれば、これで確定する。電話で「障害年金の請求で受診状況等証明書をお願いしたい」と伝えれば通じる。閉院していても、カルテが他院や医師会に引き継がれている場合がある。

③ 2番目・3番目の病院のカルテを見る 初診の病院のカルテがなくても、転院先のカルテに前医の情報が残っていることが多い。実務者の発信でも、医療機関からの紹介書類関係で初診日が確定できるケースが多いという趣旨の指摘がある。紹介状には「○年○月から当院通院」と前医の情報が書かれているからだ。2番目以降の病院に「受診状況等証明書が添付できない申立書」とあわせて、紹介状・カルテ記載の写しをもらう。

④ 第三者証明を集める 医療記録がどうしても出ないときは、当時の状況を知る第三者(隣人、友人、学校の先生、職場の同僚など。原則として三親等内の親族以外)2人以上の証明書と、他の参考資料を組み合わせる方法が用意されている。国も初診日証明の運用柔軟化を進めており、「カルテがない=即アウト」ではない。

⑤ 一人で抱えず、代わりに動いてもらう 実務者の発信で意外と知られていないこととして挙げられているのが、障害年金の請求や相談は、本人以外の第三者が行っても問題ないという点だ(年金機構への請求には委任状が必要)。カルテ照会や個別の年金相談では、医療機関の同意書や本人の委任状が必要になることがある。症状が重い時期に本人が全部を抱えず、必要書類を確認したうえで家族などに委任して進めることができる。

実例: アキさんの初診日は3週間で見つかった

抽象論だけだと動きにくいので、手順を示す架空の例を通しで見てほしい。アキさん(32歳・うつ病)は当初、「初診は2年前に退職してから行った○○心療内科」だと思っていた。このままなら初診日は国民年金期間で、障害基礎年金のみ——まさに当事者の言う「闇」のコースだ。

だが①の洗い出しで、母が「辞める前の年、胃が痛いって内科に行ってたよね」と言い出した。カードの明細をさかのぼると、在職中の令和5年10月に内科クリニックへの支払いが2件。お薬手帳にも同月、睡眠導入剤の処方記録があった。

内科に電話すると、カルテは残っていた。「不眠、食欲不振、抑うつ気分。心療内科の受診を勧める」の記載つきだ。受診状況等証明書を依頼し、初診日は在職中=厚生年金加入中の令和5年10月で確定。障害厚生年金の土俵に変わった。

かかった期間は3週間。やったことは、家族に聞く・明細を見る・お薬手帳を見る・電話を1本かける、の4つだけだ。「初診日がわからない」の中身は、多くの場合「まだ探していない」なのだ。もちろんカルテ破棄で難航するケースは実在するが、その判定すら、探してみなければ始まらない。

「初診日を制する者は申立書を制する」

初診日が確認できたら、その事実は病歴・就労状況等申立書に書く発病から受診までの経過と整合している必要がある。発病のきっかけ、最初の症状、最初にどこへ行ったか。申立書と受診状況等証明書に食い違いがあれば、確認や説明が必要になる。

逆に言えば、①で洗い出した手がかり(いつから眠れなくなったか、最初の受診のきっかけ)は、そのまま申立書の材料になる。二度手間ではなく、一度の掘り起こしが二つの書類を支える。

なお、10代で不調が始まった人は話が変わる。初診日が20歳前にあると「20歳前傷病による障害基礎年金」という、納付要件を問われない別の類型になる(20歳前傷病の解説へ)。「学生時代に保健室やスクールカウンセラー経由で病院に行った記憶」は、掘り起こす価値が大きい。

通院歴の整理から始める

このアプリでは、質問に答える形で通院歴(病院名と時期)を時系列に並べるところから申立書づくりが始まる。並べてみると「この転院のとき紹介状をもらったはず」「この空白は何だったか」が見えてきて、初診日の手がかり探しの地図になる。記録は端末の中だけ、ログイン不要、基本機能は無料。

よくある質問(FAQ)

Q. 初診日は精神科・心療内科でないとダメですか? A. いいえ。その傷病に関して最初に医師の診療を受けた日が初診日です。不眠や食欲不振で最初にかかった内科が初診日と認められるケースがあります。在職中に内科受診歴があるなら、障害厚生年金の可能性が出てくるため必ず確認してください。

Q. 初診の病院が閉院・カルテ破棄でした。もう無理ですか? A. 諦めるのは早いです。2番目以降の病院のカルテや紹介状に前医の情報が残っているケースは多く、それで初診日が確定することがあります。第三者証明+参考資料の道もあります。

Q. 受診状況等証明書とは何ですか? A. 初診の医療機関に書いてもらう、初診日を証明する書類です。診断書を書く病院と初診の病院が同じ場合は原則不要です。

Q. だいたいの時期しかわかりません。申請できますか? A. まず候補の月まで絞り、その前後の受診記録を医療機関に照会するのが実務的な進め方です。お薬手帳・診察券・明細・健診結果などの客観資料が絞り込みの武器になります。

Q. 体調が悪くて、病院への照会や年金事務所に行けません。 A. 一般的な制度相談は本人以外でもできます。個人情報を含む相談や代理手続きには原則として本人の委任状が必要です。医療機関への照会に必要な書類も事前に確認してください。

Q. 初診日が変わると何が変わりますか? A. 障害基礎年金か障害厚生年金かの種類、納付要件の判定対象期間、障害認定日(原則初診日から1年6か月後)がすべて変わります。受給額と受給可否の両方に直結します。

まとめ

※本記事は、X上で障害年金について発信している当事者・実務者の公開ポストの分析と、一般的な制度情報に基づくものです。受給を保証するものではありません。初診日の認定は個別性が高いため、具体的な判断は年金事務所・社会保険労務士でご確認ください。

参考リンク

制度の正式な情報・最新の様式は、日本年金機構のホームページおよび 年金事務所でご確認ください。